天然秋田杉のおひつ
「遠藤桶製作所」
遠藤桶製作所 三代目
遠藤政太郎さんのおひつ
現在品切れ中です。
再入荷までしばしお待ちください。
文責:古庭屋商店・小林茂和
写真:古庭屋商店・小林茂和
終更新日:2021.5.3
重宝されるには訳がある天然秋田杉。
天然秋田杉は北東北、秋田の厳しい自然の中で自生し、ゆっくりと且つ老木になっても持続的に成長します。そのために年輪幅が揃い、強度に優れ、製品となった後にも狂いが少ないために、古くから高級建材や伝統工芸品の材料として重宝されてきました。資源が枯渇し、今現在は伐採は禁じられ木材としての入手は困難ですが、こちら「遠藤桶製作所」さんでは今でも天然の秋田杉にこだわり、おひつや桶(おけ)、飯台(はんだい)などを作っています。
昭和12年(1937年)生まれ
御年83歳
遠藤桶製作所のオーナー、遠藤政太郎さんは秋田県平鹿町で三代続く桶屋の三代目。桶を作る技術を学び切る前(23歳の頃)に二代目である父、政一さんを亡くした政太郎さんは、桶屋に奉公に出て技術を身につけ、その後家業を継いで三代目となった苦労人です。
「昔は桶屋なんて集落に何件もあったもんだ。「桶屋、桶屋」なんて上から目線で言われたもんだよ。それが今じゃぁ都会のデパートの物産展なんかにいったら「あら、桶屋さん!」なんて感じで重宝がられる。時代ってのは変わっていくもんだな。」
うちの桶屋も3代目で終り。
天然秋田杉ももう手に入らね。
プラスチックなどの代替材料が台頭し、安価で大量生産可能な容れ物が幅をきかせる今、「天然杉のおひつこそサステイナブルで環境負荷の少ない最先端の容器だ!」なんて内心喜んでいたのですが、政太郎さんはこう言います。「四代目はね、継がせなかった。木桶なんて流行らね。飯食っていけねもの。」
重たい一言でした。はい…、尊重いたします。
私、茅葺ボロ家を受け継いで、屋根を吹き替えるために茅刈りをしたり、刈り取った茅で雪囲いをするという伝統的な方法にチャレンジしていますが、やってみてわかりました。茅葺屋根を今の世の中で続けていくことの不合理さと大変さを…。「茅の屋根を瓦に代えるのは勿体ない、トタンを被せるのは勿体ない。」は当事者以外の感傷でしかないことを。
そう、つまり…、桶屋さんにしか言えない言葉があるんです。
杉も竹も体力も、
限られた資源を愛おしむように。
天然秋田杉の材料が枯渇していることに加え、おひつの周囲を囲って木材を締め付ける箍(タガ)の原料である竹も秋田ではなかなか手に入りません。県内全域が豪雪地帯という厳しい自然環境ゆえに秋田では竹が自生しないことに加え、以前は近くにあった竹屋さんも廃業してしまったといいます。つまり、原材料の全てにおいて調達するのが困難になってしまったのです。
加えて83歳という年齢も大きな理由の一つ。昔のようには作り続けられません。
秋田杉と竹で作った、
天然素材のおひつ。
遠藤桶製作所さんでは箍の素材が銅製のおひつも作っていますが、当店では竹の箍のおひつを仕入れさせていただきました。内部にウレタン塗装をしていない、天然素材のおひつです。
おひとり様用と、
3合、5合用おひつを用意しました。
そんな貴重な「天然秋田杉のおひつ」を3種、ご用意させていただきました。
初めて見ましたよ、おひとり様用のおひつ!大家族には向きませんが、ひとり暮らしの方におすすめです。夫婦2人で使うなら残ったご飯の保存に良いですね。
大人2人、子供3人(小2の男子双子、2歳女子)の我が家では3合用を使ってます。大家族、モリモリご飯を食べる派のご家庭には5合用がおすすめ。
いつまで手に入るか分からない天然秋田杉のぬくもりと職人の匠の技。キッチンや食卓にあるだけで心が温まり、そして、少し背筋が伸びる気がします。